お久しぶりです!研削研磨comです。
研削研磨.comでも「鏡の鱗取り」について多数のお問い合わせを頂いております。
所謂お風呂の鏡の鱗取りのお話が最も多く、酸化セリウムで磨けばキレイに~とのお声を頂きます。
それは鏡の表面はガラス、そのガラスと酸化セリウムのケミカル反応+セリウムの研磨力により鱗が取れてキレイに…
との事をイメージしての事とかと思います。
実際そのような製品が多数販売されますしね。
ただ…私ずーーーっと疑問だったんです。
ホームセンター等でお風呂掃除コーナーを通るたびに。
研磨材配合!とか書いてあるのをみるたびに。
ん?と。なんだと?と。
手に取ってみると、成分は研磨材X%配合としか書いてなかったり、粒径も書いてなかったり…。
そもそも鏡のガラス相手の手磨きで研磨材が必要なの??
そもそも鏡の鱗取りに酸化セリウムが適しているの??ケミカル反応が起こるの??
パッドタイプのを見るとダイヤ配合!アルミナ配合!とか増量とか!
液体タイプですと、研磨材50%配合!とか。
いやいやいや、待ってくださいよ。
研削研磨.comをご覧の皆様なら、同じ疑問を持たれているのではないでしょうか?
研磨の良し悪しは濃度だけで決まるんだっけ?
研磨材だったら何でもよかったっけ?
それだったら皆さん条件だしで苦労してないですよね(遠い目
と、大手企業の製品達に真っ向から好戦的なスタイルで検証してみようと思います。
掃除のプロ視点なのか、研磨のプロ視点なのかって話ですよ。
いやね、そもそもこうだったはずなんですよ。研削研磨.comの本流は。
私のやりたいように、忖度なしで、なによりも自分の疑問を解決したい(研磨業界だけに限らず)
それがいつからか迷走し始め…無難な、当たり障りのない記事内容になっていき…結果更新が進まないと。
そうじゃない、何事も自分が楽しまない相手にも楽しんで貰えない。
デートと一緒ですよ、クソテンションの低い人とディズニー行っても楽しくないでしょ?と。
最近歳のせいか、そんな所に辿り着いた次第です。
あ、そうそう、鱗の研磨ですね。マジで研磨材配合!増量!はぁ?って話ですよ。
こちとら研磨で飯食ってんですよ。削って磨いてご飯になる訳ですよ。
では考えます!
私的には研削…というよりも研磨の要素が強いと捉え、まずは研磨として考えます。
その為、磨く対象物の硬さと、研磨材の硬さ、粒径、濃度、それに適した研磨布(研磨パッド)が重要と考えます。
順番としては研磨材粒径を決めてからそれに合ったPADを選ぶ感じで。そしてそれにあった加工条件でしょと。
鱗部分の除去という目線で考えるとまず粒径が一番大きな要素じゃないの?と思っています。
まずはこんなイメージ…板ガラスの上に異なる硬さの物質(ウロコ)がある状態。
この理想はこの鱗(ウロコ)のみ除去し、ガラス表面に傷を付けない事ですがそれはこの方法では不可能。
鱗(ウロコ)を削ると同時に必ずガラスにも研磨材は接触します。
その時にガラスに傷を付けない…というのも不可能。
そもそも研磨とは傷をつける事です。その傷をより小さく、より細かくしています。
その為、傷が目視レベルで目立たなければOKとします。
当然ですが、鱗(ウロコ)の除去に粒径が効果的といっても、相手はガラス…の上にある。
研磨材の粒径が、ある一定上の大きさを超えるとガラスに傷が目立つのでは?
ここに研磨材が入ると…
粒径に応じて鱗(ウロコ)は取りやすくなります、が、同時にガラスに入る傷は大きくなります。
また鱗と言っても千差万別、強力に固着した鱗から軽めの白い鱗が存在しています。
そもそも水垢なのか、湯垢なのか。アルカリ性なのか酸性なのか。何μm突起しているのか。
もしくはその混合物ではないのか。それにより研磨材と粒径が決まる…。
まずは中和させて…柔らかくしてから…とも考えられます。
個人的な理想は中和→布でサッと拭く→除去も出来てキレイ!が辿り着く所かなと。
しかしこちとら研磨屋です。
まずは磨いて鏡面にしてやりますよ、中和処理は後々考えます。理想の工程には多分必要です。
つまりいかに鱗(ウロコ)が削りやすい/取りやすい粒径、濃度で、且つ、ガラスに傷を付けないもの。
またその加工物の鱗(ウロコ)って何?と考えるとミネラル(水の不純物)とか石鹸とかです。SiCやらセラミックとかと比べたら屁みたいなモンっすよ。イージー。
とまぁごちゃごちゃ話してもしょうがないので、まずは仮説から。
まずは最低限…
目的:鱗を除去し、限りなく傷の少ない鏡面状態(目視レベル)にする事。※1
加工条件:手磨き=高圧低回転※2
対象物:ガラスに付着した鱗(数μmの突起、マイクロスコープにて観察)と板ガラス※3
加工取り代:出来る限り鱗部分のみ
使用副資材:市販品の鱗落とし(予察)
※1 鏡ですので精度は重要視しないものとします(蛍光灯が歪まない程度)
※2 手磨きをイメージしてます。あまり時間をかけず軽く手で磨くだけで落としたい。
本格的なものですと恐らくサンダー等の機械が必要ですが、加工条件が大きく変わりますので今回は手磨き限定。
※3 風呂場で生成した鱗を対象とします。
さて、加工するワークは何か?まず削る相手は鱗(ウロコ)部分ですよね。
その鱗とは何で、硬さはどれぐらいなのか。
そもそもこの鱗(ウロコ)は鏡の上に付いた水分が蒸発する事で発生しています。
※研磨後の洗浄、乾燥工程みたいなイメージ。
その乾燥して残った物質とは…
この混合物を加工ワークとして考えます。
混合すると硬くなる…てのもあるので少し固めに考えると…
ホウケイ酸ガラスでモース硬度5~6なので一般的なガラスよりも柔らかく、鉛ガラス(クリスタルガラス)と同等程度と言えるかもしれません。
ただ忘れてはいけないのが、あくまでも付着という所。ワークで考えると、鏡面の上に鱗があるので、硬度が十分にあり、かつ鏡面を傷付けないという選定が必要です。
それと鱗(ウロコ)除去量がどれくらいなのか。300μm!とかだったら研磨でやってられないですよ。
え?ミリって事はないですよね?だとしたら研削じゃないと時間が‥‥
とはいえ、ガラスの中にタングステンがある!とか銅が混ざってる!とのワークと比べれば簡単ですわ、イージーイージー。
まず鱗以外の部分がガラス…と考えると、あれ?ガラスを傷つけにくいと考えるとセリウムが良いのかも…。
なんでセリウムやねんと思ったものの、そこがあるのかも…流石大手メーカーの商品達は考えてました。そりゃそうですよね、安易な気持ちで否定してすみません…ガラスが傷だらけになったらクレームの嵐ですよね。
この流れで~老舗研磨屋監修、研磨屋目線の鱗落とし~でいけないっすかね…。
その際は私じゃなくて技術部部長にガチ対応して貰いますので…より研磨目線で考えれると思うんですよ、鱗を落とす事に特化!みたいな。
はい。とはいえ当初の考えていた鱗の種類によって変えるってのは正しいかもしれません。
強固な鱗にはアルミナが適してそうですよね。アルミナで除去した後に、セリウムの2段が良さそうな…。
とはいえこれも取り代次第ですね。
間とってジルコ1段もいけるのでは?やばい無限の可能性が…終わらない…
1段研磨が理想なのは分かりますが、こちとら研磨屋。楽して良い結果は得られない事は重々承知してます。
何度痛い目を見た事か、結果コツコツが一番の近道なんですよね。筋トレと一緒、人生と一緒です。
とはいえ、お客さんの要望は絶対!なのでまずは2段が完成してから1段を考えるとします。
ですがこれは鱗(ウロコ)の研磨取り代が分からないと決められない…。その取り代に応じて研磨材を選定選定、粒径を選定という所でしょうか。
研磨屋の皆様ならご理解頂けると思うのですが、粒径とパッドの組み合わせも重要です。
ただ第一段のテストでは仮説検証も兼ねて市販品を観察、その粒径と、素材による変化を確認します。
変化確認後、適した粒径による研磨パッドを試してみます。これも取り代次第ですよね。
最終的にはガチ研磨材とガチ研磨パッドでやりたいんですよね…。
あれ?これ鏡何枚いるんだってばよ…
・手磨き(片手による圧力)
固定するのがなかなか難しいんですよね、手磨きなのでパッドを使うとしたらパッドの面積にもよりますし、面積計算で出して…ロードセルで圧力かけた時の重さを測るか…
測った結果、15㎏~20㎏の間でした。軽めで10㎏の圧力,力入れて20㎏。Ave17㎏としますか。
ここは正確に調整出来ないので、私の感覚を信じてくださいとしか言えません。
なんとなく頭の中は整ったので、この考えを持ちつつ予察を進めます。
まず大手メーカーさんの商品を数種類試す&観察してみようと思います!
大手メーカー市販品達はどう考えてるんだってばよ。
当然しっかり考えて商品開発しておられると思うのでその考えが他の研磨に活かせるやもしれませんしね!
考察だけで長くなってしまったので、今回はこの辺りで…。
次回は研磨屋目線での市販品の考察と鏡の鱗生成をします!
引き続き研削研磨.comをお楽しみに!