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サファイアとは? 技術用語 素材編

サファイア(sapphire)とは?

研削研磨におけるサファイアは、その高い硬度と耐熱性、化学的安定性を生かした用途で使用される材料です。
サファイア(酸化アルミニウム、Al2O3)は、モース硬度9と非常に高く、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持っています。
このため、研削研磨工程での工具材料や、特定の製品の加工に利用されます。

サファイアの特性

高硬度: サファイアは非常に硬いため、耐摩耗性に優れています。
耐熱性: 高温環境でもその特性を維持する能力があります。
化学的安定性: 多くの化学物質に対して安定しているため、腐食しにくいです。
透明性: 光学材料としても優れており、特定の波長の光を通すことができます。

研削研磨での用途

工具材料: サファイアの硬度を生かして、他の硬い材料を研削研磨する工具の先端部分に使われます。
耐摩耗部品: 機械部品などの耐摩耗性が求められる用途に利用されます。
光学コンポーネント: 高い透明性と硬度を生かして、レンズや窓などの光学部品に使用されます。
装飾材料: その美しさから、装飾用途や高級時計の文字盤などにも用いられます。

サファイアの研削研磨は、その硬度により困難を伴いますが、
ダイヤモンド研磨剤などを使用することで精密な加工が可能です。
サファイアを使用した製品は、その耐久性や美しさ、特殊な物理的特性から、
多くの高技術産業で価値を見出されています。

加工のしやすさ

サファイアは私が入社当初(16年程前?)から加工に携わっておりました。
当時の課題は、固定砥粒でサファイアを加工すると、硬くすぐ切れなくなる。
どうすれば固定砥粒で目立てを入れる事なくサファイアを切り続ける事が出来るか?
サファイア先駆け時代として一部ユーザー様ではサファイア加工に既に固定砥粒を使われていたのですが、
当時の使用方法は粗番手の固定砥粒を使用し加工する。
加工レートはバッチ毎に下降するので、3、4バッチ加工後に修正砥石を入れてドレスして目立てを行い、
再度加工するという加工方法でした。
これをドレスする事なく一定の加工レートにて安定し削り続けるには何をどうすればよいのか?
それこそ一時期はスマホのカバーガラスがサファイアガラスになるーっていう情報もあり、より一層考えたものです。

粗番手の大きなダイヤを使用しても、サファイアの硬さでダイヤがすぐ摩滅し、ダイヤが平らになって切れが弱まる。
高番手の小さなダイヤを使用するとそもそもダイヤがサファイアに刺さらない。

このバランス…とその先を見つけるのに7年以上かかりました…。
それこそ原理原則から、プレストンの法則、全てのモノは摩耗する等深く深く考えました…。

と、そんなサファイアの加工感覚ですが、リアル現場目線ですと落ちても割れにくい(何度助けられたか…)が、
傷があるとそこから広がり割れやすくなる。
例えば鏡面状態から粗いダイヤで傷を付けていくとバリバリに割れたりします。(しました)
後は「梨地」の問題。
当時は梨地面が必要な事も多く、固定砥粒で梨地面を作るのは不可能でした。
その為、両面研磨品に特化していく事になるのですが、高番手では一般的な条件での加工は不可能。
ダイヤが刺さらない為刺さる為の工夫が必要でした。
粗番手での加工レートは高くする事が出来るのですが、高番手程レートが落ちます。
特に研磨はひたすらに長い時間を要します。噂ではベニヤ板とスラリーで研磨していた会社もあるとか…。
用途も今でこそ言えるものが色々ありました。
それこそスマホディスプレイガラス、特殊な用途に使用する窓ガラス、レンズカバー…。
スマホディスプレイは「Kセラさん」(魔改造の夜風)が有名ですね。
特殊用途窓ガラスはその強度と特性からご想像下さい。

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