こんにちは。
前回、『酸化セリウム系研磨材のミレーク™(MIREK™)』の紹介をさせて頂きましたが、今回はそのミレークが白くなる!?というお話です。
現在のミレークEシリーズは茶色やベージュ色をしていますが、最近、新たに白色のミレークが出てきております。
既に、以前から海外品などでは白い研磨材が存在していましたが、現在、ミレーク含め国内メーカー品も白い研磨材へ移行が進んでいます。
ミレークも、現行品の茶色いEシリーズに代わり、白色のミレーク“HLシリーズ”へ移行が進んでいますので、そのあたりについて詳しく説明します。
EシリーズとHLシリーズの違いは以下の通りです。
★ミレークEシリーズ(主に3つの元素が主成分)→ 3元素品
★ミレークHLシリーズ(主に2つの元素が主成分)→ 2元素品
まずは、研磨材の色が変わる理由について説明したいと思います。
それは、成分組成に関係してきます!
現行品の茶色い酸化セリウム研磨剤ミレークEシリーズ(3元素品)と白い酸化セリウム研磨剤ミレークHLシリーズ(2元素品)の組成については以下となります。
★EシリーズとHLシリーズの組成比較
組 成 | 単位 | ミレークEシリーズ | ミレークHLシリーズ |
TREO | % | 95.8 | 96.2 |
CeO2/T(酸化セリウム) | % | 64.5 | 67.4 |
La2O3/T(酸化ランタン) | % | 30.0 | 32.6 |
Pr6O11/T(酸化プラセオジム) | % | 5.3 | <0.1 |
Nd2O3/T(酸化ネオジム) | % | <0.1 | <0.1 |
F(フッ素) | % | 5.8 | 5.4 |
尚、上記数値は代表値であり保証値ではございません。
上記のように、HLシリーズでは酸化プラセオジム、酸化ネオジムの値が限りなくゼロに近くなっております。
Eシリーズのように酸化プラセオジムが僅か5%程度入っているだけで色の違いが出てきます。
では、研磨材がなぜ白色に変わっていくのかという原因や理由について、少々深掘りしていきます。
理由⑴:価格高騰リスクを避けるため
現在の酸化セリウム研磨剤に酸化プラセオジムと酸化ネオジムが使われており、その成分がもともと希少価値の高い成分であること。
そして近年、研磨材原料の酸化プラセオジムや酸化ネオジムが電動自動車などの高出力モーターに使用される永久磁石などに欠かせない原料となっており、希少価値が更に高まっている事が一つの原因となっております。
★希少価値が高まる=価格高騰に繋がる!(その原料を除く事で価格の変動リスクを避ける)
理由⑵:安定調達=安定供給のため
現在、ミレーク他、市場に出ている酸化セリウム系研磨材のほとんどが中国産原料です。
その原料を扱う中国では、酸化プラセオジムや酸化ネオジムなどの希少価値の高い原料はそれ自体が単体で高値取引されるため、研磨材原料として酸化プラセオジムと酸化ネオジムを除いた製品をメインで扱っているメーカーが圧倒的に多いという事情があります。
★扱っている原料メーカーが多い=安定調達に繋がる!
ミレークが白色の2元素品へ代わる要因としては、上記のように、⑴価格高騰リスクの回避、⑵安定調達及び安定供給の為、といった理由が挙げられます。
また、世界的にみれば、ガソリン車を禁止しEV車やHV車へという流れもあり、今後ますます酸化プラセオジムや酸化ネオジムのような希少金属の価値が上がることは避けられないでしょう。
2元素品にすることにより、価格の高騰リスクも避けられ、安定供給にも繋がりますので
切替えが急速に進むことが予想されます。
品質面においては、当社八王子での評価も従来品の研磨能力と変わらない結果が出ており、お客様の評価でも同様の結果を頂いております。現状では、問題なくスムーズに切り替わっております!
また、お客様からは、研磨レートが向上したり、研磨後の洗浄が良好であったり、白色になったことで現場の作業環境が従来よりも清潔感が出たなどというお声も頂いております!
★ミレークHLシリーズの品種表は以下となります。
品 種 | 品 番 | 性 状 | 平均粒径(μm) | 主な用途 | |
ブレーン径※1 | レーザー回折散乱※2 | ||||
ミレーク HLシリーズ (MIREK) |
HL05 | 粉末 | 0.3~0.5 | 0.5~0.9 | 最終仕上げ用 |
HLS0 | 0.4~0.7 | 0.8~1.3 | 最終仕上げ用 | ||
HLS2 | 0.7~1.0 | 1.0~1.5 | 最終仕上げ、及び一次研磨用 | ||
HLS3 | 0.9~1.2 | 1.2~1.6 | 一次研磨用 | ||
HLSS | 1.2~1.7 | 1.8~2.3 | 一次研磨用 |
※1:試験粉体を一定の空隙率をもつ圧縮体に形成し、その圧縮体を通過する一定空気量に対する抵抗の程度によって比表面積を求める。
※2:粒子に光(レーザー及びランプ光)を照射し、散乱光強度の角度分布から粒子径の分布を求める。
尚、上記数値は代表値であり保証値ではございません。
基本的には、平均粒径他、Eシリーズとの変更点はありません。
品番の頭文字のアルファベットがE→HLへ変わっただけとなります。
今までミレークをご使用したことがないお客様はもちろんですが、白い研磨材に興味を持たれたお客様、ミレークについてもう少し詳しい話が聞きたいお客様などおりましたら、一度是非お問合せ下さいますよう宜しくお願い致します。
ここまでにお話しした通り、世界的な背景も含め、3元素品が“急きょ”なくなる可能性もゼロではありません。
当社もお客様への切り替えを進めております。
白い研磨剤を試してみるなら今です!
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(※現在、新シリーズへの移行期間の為、サンプル準備に時間が掛かっております。出荷にはしばらくお時間がかかりますので、ご了承の程宜しくお願い致します)
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